◆ 遺体の粗末な扱い 蘭「激怒」
映画「おくりびと」がアカデミー賞を受賞したのを見ても分かるように、「遺体を丁寧に扱う」っちゅう死生観ってのは、日本人独特のもんなんやのに、オランダ人が怒るぐらいやから、よっぽど酷い扱いやったんやろな。
四川大地震でも自衛隊員が遺体を丁寧に扱ってて、中国で評判になったっちゅうニュースがあったけど、「遺体を丁寧に扱う」ってのは、世界ではそれだけ珍しい行為。
日本人はDNAに刻み込まれてるから、「丁寧に扱う」ってのを言われんでもできるけど、海外やと自分の親族とかなら話は変わってくるけど、見ず知らずの他人で、しかも紛争地となると、こうなるのも無理ないわな。
日本人がこういう「死生観」を持つようになったのも、江戸時代以降で、それまでは遺体を川原に野積みしてたりしてた。
そもそも、釈迦自体が「葬式」に興味がなかったし、日本人にとって「死」は「穢れ」(だから葬式には清めの塩の袋をもらう)なわけで、坊主ですら、鎌倉時代までは死に関わるのはタブーとされてた。
本来、「葬式」と「仏教」は結びつかんもんやってん。
「葬式」をこんだけ大事にしてるのも日本の仏教ぐらい。
だから、日本の仏教は「葬式仏教」なんちゅうて揶揄されるんやけど、何でこうなったかっちゅうと、江戸時代に「檀家制度(寺請制度)」が導入されたから。
「葬式」とか、「死者を弔う」ってのは、上流階級だけのもんで、「檀家制度」ができるまでは、庶民とは無縁のもんやってんな。
これは、キリスト教の禁教令を強化する政策やったんやけど、「お布施」ってもんを強制的に取り立てる事で、寺の「ビジネスモデル」として確立していく。
「ビジネス」になったから、「サービス」も充実していくわけで、ここで「儀式」が確立していく。
遺体を丁寧に扱えば扱うほど、寺が儲かる仕組みができあがったわけですな。
今でも、葬式費用ってのはかなりの負担やけど、昔はもっと大変やったんやろな。
更には、「法事」ってもんを導入して、遺族が死ぬまで「お布施」を取り立てられる。
「お彼岸」とか「お盆」の墓参りってのも、この「ビジネスモデル」の一環やねんな。
良いか悪いかは別にして、日本人が遺体を丁寧に扱うのは、こういう刷り込みから来てる(庶民が望んで「葬式仏教」に発展したっちゅう説もあるけど)。
400年も刷り込まれりゃ、もう抜け出せんけど…
まぁ、これ自体は、悪い事やないんで、「死者の尊厳を踏みにじらない」っちゅう精神は大事にしててええと思うけど、個人的には死んだら生ゴミやと思ってるんで、「雑に扱え」とは言わんけど、殊更、儀式張った事をして、坊主を儲けさす必要もないと思う。
坊主がそうやって「金儲け」に走ったおかげで、日本の仏教は、「葬式仏教」と「観光仏教」しかないようになってもうてんな。
日本人の宗教嫌いも、こういう「宗教=カネ」ってもんがあからさまに見えるからってのも一因なんかもな。
ちゅうか、日本の仏教もそろそろ時代に合わせて変化するべきやと思う。
「七五三」なんちゅう行事があるように、昔は「3歳」「5歳」「7歳」で死ぬ子供が多かったし、そこを過ぎてもせいぜい30、40までしか生きられへんかった。
それだけ「死」が身近やったから、「苦行」の時間が短いんで、「死んだら極楽に行ける」っちゅう教え方も受け入れられたけど、今は70、80が当たり前の時代やからねぇ。
苦行が倍になっとるんやから、さぞかしすごい極楽が待ってるんやろうけど、死んでからの幸せやなくて、生きてるうちに「極楽」に行く方法を教えんと現代人はついて行かれへん。
「自分探し」だの「幸せ探し」だのってのが表に出てくるぐらい、現代人は「生き方」に迷ってるのに、仏教がその受け皿になっとらんのやからなぁ。
仏教には「生き方」のヒントも書かれてるし、コンビニと同程度の数の寺があるし、「檀家制度」のおかげで、密接な関係にある。
これだけ一番身近な宗教やのに、「大事な事」は教えてくれんのやからなぁ。
日本人の葬式離れも進んでるし、このままやと日本の仏教は「観光仏教」しか残らんようになるで。
そうやって、寺が廃れていったら、こういう「遺体を丁寧に扱う」っちゅう「死生観」もそのうちなくなる。
なので、「葬式」っちゅう「ビジネスモデル」を残しつつ、現代に合うように変革していくべきですな。
ちゅうか、精神科ばっかり儲けささんと、そこに入っていけばええねん。
そもそも、そういう「病気」になる前に救うのが「宗教」の役目やん。
「儀式」じゃ「生き方」は学べんっちゅうの。
「死んだ人間」やなくて「生きてる人間」を大事にしましょう。
何か、ニュースと全然関係ない話になってもうたけど、日本人が「遺体を丁寧に扱う」っちゅうのは、こういう背景があるって事を知っといて下さい。
何にしても、「宗教嫌い」でも、そういう大事な精神(遺体を丁寧に扱う)っちゅうか、「嫌いなもんでも良いもん良い」っちゅうて、分け隔てなくちゃんと受け継ぐんやから、「日本人」ってのは、やっぱりたいしたもんやと思います。
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