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秋葉原殺傷 第16回公判
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《男性弁護人による加藤智大(ともひろ)被告(27)の被告人質問が続いている。弁護人が証言席の隣に寄り添い、加藤被告が書き込んだインターネット掲示板の印刷書類に目を落とす》

被告「ゲームセンターで彼女がなかなか取れないものを、横から取っていいかというようなことを書きました」

弁護人「不満を持ったとか、邪魔をしようとか、言葉通りのことをしようと思ったのですか」

被告「面白がってもらおうと思い、書き込みました」

弁護人「冗談ということですか」

被告「はい」

《傍聴席からは、書き込みの内容が分からないため、加藤被告と弁護人のやり取りを聞いて想像するしかない》

弁護人「最後のコメントですが、この言葉の意味は何ですか」

被告「ゲームセンターでイチャイチャしているカップルに火をつけてやろうと書いてあります。書き込みは冗談ですが…」

弁護人「ネット上の住人はあなたの冗談に対して冗談で答えているということですか」

被告「はい」

《午後5時前、村山浩昭裁判長が弁護人に対し、この日の審理終了を打診するが、弁護人はさらに5分の延長を求め、村山裁判長が了承する》

弁護人「掲示板の書き込みや文章を作成する際に、どういったことを考えていましたか」

被告「ほかの住人を面白がらせようと思っていました」

弁護人「イチャイチャしているカップルは不愉快ですか」

被告「不愉快だとストレートに書き込むとネタというよりも不満になってしまいます。だから(放火するという表現のように)ひねった書き方をするようにしていました」

弁護人「『殺してしまう』とか、『死ね』とかいう書き込みはどういう意味ですか」

被告「冗談です。ネタを面白くするためのエッセンスです」

弁護人「掲示板の中でのやりとりは、一般の世界ではどういった意味を持ってくるのでしょうか」

被告「せいぜい居酒屋でのばか話程度。冗談を言い合っているような感じです」

弁護人「やめなさいという反応があれば、それについてはどう考えますか」

被告「それは空気を読めずに説教するような反応だと思います」

弁護人「ゲームセンターに関する書き込みなど、この日は9つのスレッドを立てていますが、この日は特別多いのですか」

被告「いいえ。仕事以外の時間はすべて書き込みをしますので…」

弁護人「どうしてここまで書き込みをするのですか」

被告「掲示板の人間関係が大切だからです」

弁護人「友人とは電話やメールでもやりとりができるのではないですか」

被告「電話やメールは離れている人同士のやりとりです。掲示板は同じ場所を共有している人同士のやりとりです。(住人は)私の部屋に遊びに来てくれる人のような感覚です」

弁護人「弁護人からは以上です」

《午後5時02分、村山裁判長はこの日の審理終了を告げた。加藤被告は、両脇の係官に法廷の外へ進むように促されたが、傍聴席に向かって一礼。無言のまま法廷を後にした》

《次回の公判は7月29日午前10時から、この日と同じ東京地裁104号法廷で開かれ、引き続き弁護人による被告人質問が予定されている》

 =(完)

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