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秋葉原殺傷 第17回公判
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《約30分間の休廷をはさみ、加藤智大(ともひろ)被告(27)が再び入廷し、証言台の前の席に座った。男性弁護人は無差別殺傷事件を想起させる「殺傷系ゲーム」の話から質問を続ける》

《弁護人は加藤被告の横に立ち、インターネットの掲示板の加藤被告の書き込み内容を法廷内のモニターに映し、書き込みの意味を質問していった》

弁護人「『目標100人ぐらい。もっとやりたい』と書いてあるが、この書き込みを説明してください」

被告「少し前に自殺はなんでいけないのかということを書き込んだりしていて、自殺に他人を巻き込むなら目標は100人というような意味です」

弁護人「実際に考えていたのですか」

被告「考えていませんでした」

《弁護人は資料を指さして、さらに別の書き込みについても聞いていった》

弁護人「『ログ(書き込み記録)って残るんだよね』とありますが、これは?」

被告「事件を起こしたあと、荒らしやなりすましが書き込みを消しても、記録って(掲示板の)運営会社で確認できるんだよねと書くことで、ニセ者や荒らしに警告していました」

《弁護人は掲示板への書き込みの質問から、6月3日の加藤被告の行動へと質問を変えていく》

弁護人「6月3日のことで覚えていることはありますか」

被告「髪を切りに行って、本屋にも行きました」

弁護人「どこまで?」

被告「御殿場です」

弁護人「本屋では何を買いましたか」

被告「エアガンの雑誌を買いました」

弁護人「なぜエアガンなのですか」

被告「友人の趣味が私のやっていた趣味と近かったので、昔やっていたエアガンを紹介したら一緒にできると思って買ってみました」

弁護人「友人とは何をしようと思ったのですか」

被告「サバイバルゲームをしようと考えていました」

弁護人「その雑誌にあなたがナイフを買いに行った店の情報が載っていましたか」

被告「載っていました」

弁護人「だから買ったのですか」

被告「そうではないです」

《弁護人は、一度は派遣終了を告げられた工場と契約が継続できることになったことについて、質問していった》

弁護人「もと通り働けるということは、どういう風に伝えられたのですか」

被告「通勤用バスのバス停に向かっていたところ、リーダー格の人がバス停から歩いてきて、簡単に口頭で伝えられました」

弁護人「工場で派遣切りになったのはあなただけでしたか」

被告「派遣(社員)は全員でした」

弁護人「残留できることになったのは全員でしたか」

被告「一部の人だけでした」

弁護人「なぜその一部の人にあなたが入っていたのですか」

被告「所属していた工程が忙しく、抜けると作業が成り立たない状況だったのではないかと思います」

弁護人「継続できる期限については何と?」

被告「何か言われた覚えはありません」

弁護人「残留できると聞いてどう思いましたか」

被告「これといってありませんが、残留になったらなったでがんばろうと思いました」

《弁護人は、捜査段階での調書を引き合いに出した》

弁護人「派遣先では歯車のように扱われ、憤慨したとありますが、そのように感じていたのですか」

被告「そんな感情ではありませんでした」

弁護人「会社に簡単に切られることについてはどのように思っていたのですか」

被告「派遣が使い捨てのパーツのように扱われることに疑問を持った。それについてあるところに相談したところ…」

《弁護人が突然、加藤被告の質問を遮るように割って入った》

弁護人「あるところとはどこですか」

被告「(ネットの掲示板)『2ちゃんねる』に相談しました」

弁護人「『2ちゃんねる』はそうした真剣な相談をするところなのですか」

被告「(2ちゃんねる内にさらに)たくさん掲示板があり、中には真剣な相談に乗ってアドバイスをくれるところもあります」

弁護人「どういう相談をしたのですか」

被告「派遣は使い捨てのパーツだというようなことをぶつけました」

弁護人「どんなアドバイスをもらいましたか」

被告「『正社員でも派遣でも、組織に属するというのはそういうもの。1人欠けたら成り立たなくなるような組織は脆弱だ』というような内容で、なるほどなと思いました」

弁護人「派遣切りに憤慨したことが犯行の動機ではないのですね」

被告「それはないです」

《弁護人が再び加藤被告の隣に立った。加藤被告の書き込みを印字した資料を指し示し、質問を続けた》

弁護人「『ひぐらし』と『GTA』(「ひぐらしのなく頃に」など殺傷事件を想起させるとされる2本のゲームソフト)を買っておかないと、とありますがこれは?」

被告「『ひぐらし』と『GTA』で事件を連想させることで、なりすましに警告しようと思いました」

弁護人「実際に買ったんですか」

被告「買ってないですし、買おうとしたこともありません」

弁護人「このころ事件を起こすことを決めていたのですか」

被告「そんなことはないです」

《弁護人はさらに別の書き込みについて質問した》

弁護人「『助手席に女、乗せているやつに税金かければ、日本の財政難は解消すると思う』とありますが、これは?」

被告「いつものブサイクネタとして書き込みました」

弁護人「『6月4日には土浦の何人か刺したやつを思い出した』とありますが?」

被告「何かでそうしたことを思いだし、なりすましやニセ者に起こしそうな殺傷事件、無差別殺傷、そういった要素が加わってしまったと思われます」

弁護人「この時点で無差別殺傷をしようと考えていたのですか」

被告「そうではないです」

《裁判官は手元の資料に目を落とし、加藤被告の言葉にじっと耳を傾けている。弁護人はもといた場所に戻り、派遣先の工場で作業着がなくなったことに質問を移した》

弁護人「6月5日の朝に出勤したらつなぎがなくなっていましたね。そのことについて説明してください」

被告「出勤すると、あるはずの作業着、つなぎがなくなっていました」

《弁護人は、工場でのつなぎの管理方法や整理の状況について、加藤被告にひとつひとつ確認していく。加藤被告は淡々と説明していった》

法廷ライブ12に続く

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