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秋葉原殺傷 第17回公判
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《男性弁護人が引き続き、加藤智大(ともひろ)被告(27)にネット掲示板の利用方法について聞いていく》

弁護人「キュウカイとその他の掲示板はどういう利用の仕方をしていたのですか」

被告「予備でテキトウという掲示板も利用していました」

《「キュウカイ」「テキトウ」というのは、いずれも加藤被告が利用していた掲示板の名前だ。加藤被告はキュウカイこと「究極交流掲示板(改)」という掲示板に、「秋葉原で人を殺します」というタイトルのスレッドを立て、「車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います みんなさようなら」など、犯行予告ともとれる書き込みをしていた》

弁護人「テキトウはこの前、法廷に来てくれた彼が運営している掲示板ですね?」

被告「はい」

《掲示板運営者は、弁護側証人として出廷している》

弁護人「テキトウはどのくらいの人が利用していたのですか」

被告「多くて数人です。ほとんどは無人の状態でしたが、たまに5、6人集まっていました」

弁護人「あなたの言う無人とは、どういう状態のことですか」

被告「無人というのは、掲示板上に新しいスレッドが立てられたり、新しい書き込みがなされるのが一切ない状態のことです」

弁護人「テキトウではどんな書き込みをしていたのですか」

被告「雑談をしていました」

弁護人「なぜテキトウを使うようになったのですか」

被告「掲示板の管理人から誘われ、義理で使うようになりました」

《弁護人は掲示板についての質問を終え、被告が働いていた青森市内の運送会社での人間関係について聞いていく》

弁護人「働いていて不満はありましたか」

被告「ありませんでした」

弁護人「同僚と飲みに行ったり花見をしたりしていたということですが、人間関係についてはどう思っていましたか」

被告「特にこれといったことはなく、可もなく不可もなく働いていました」

弁護人「その後も運送会社で働いていたのですか」

被告「途中で辞めました。平成19年の9月半ばです」

弁護人「どうしてですか」

被告「旅に出ることにしたからです」

弁護人「旅とは?」

被告「テキトウの管理人に福岡まで遊びに来いと言われたので、福岡まで行く旅です」

弁護人「その後のことについてはどう考えていましたか」

被告「9月28日が誕生日なので、その日に自殺しようと考えていました」

弁護人「どうしてですか」

被告「なぜかということはよく分かりません」

《加藤被告はまるで他人事のように淡々と答える》

弁護人「どういった方法を考えていたのですか」

被告「青森市内のある駅で、そこを通過する特急に飛び込もうと考えていました」

弁護人「なぜその方法にしようと思ったのですか」

被告「その特急が駅を通過するのがすごく速いので、『これなら即死できる』と思った記憶があります」

弁護人「会社を辞める際はどのようなやり取りをしたのですか」

被告「当初、2週間くらい休暇がほしいと言いましたが、それは無理だと言われたので『じゃあ、辞めます』となりました」

《同僚の慰留を振り切り、加藤被告は運送会社を退職する。このときの心境について尋ねられると、加藤被告は「自殺することを考えていたので、会社を辞める辞めないというのは二の次だった」と語った》

弁護人「旅はどのようなものでしたか」

被告「自分の車でテキトウの人が住むところを回りながら、(管理人が住む)福岡へ行くというものでした」

《旅に利用した車は、加藤被告が実家を出て一人暮らしを始める際、母親から渡された資金で購入したという》

弁護人「まず旅に出て、どうしましたか」

被告「最初は仙台に向かいました。昔からの友人がいたので、そこに泊めてもらいました」

弁護人「仙台ではどのように過ごしましたか」

被告「彼とゲームをしたりご飯を食べたりしました」

弁護人「仙台の友達にはこれから福岡に行き、掲示板の仲間と会うという話をしましたか」

被告「しませんでした」

弁護人「掲示板を利用していることは話しましたか」

被告「しませんでした」

弁護人「それはなぜですか」

被告「意図的にではありませんが…。自分でも掲示板を利用したり、旅をしたりすることを痛々しく感じていたから言えなかったのではないかと思います」

《「痛々しい」という言葉の意味について弁護人から問われると、加藤被告は「恥ずかしいという意味に近いです」と返答。自身の“掲示板漬け”の生活に対する、複雑な心境を打ち明けた》

《加藤被告はこの後、仙台から群馬へ移動。ここで、テキトウで交流していた女性と過ごしたという》

弁護人「元々はどういう予定だったのですか」

被告「(女性が)平日の昼が都合がいいということだったので、朝着いてから一緒に過ごし、夜には出発する予定でした」

弁護人「実際はどうでしたか」

被告「前日の夜に着いてしまったので、そこから一緒に過ごしました」

弁護人「夜は何をしましたか」

被告「お酒を飲んで…。あ、お酒というのはフルーツ系の甘いカクテルなんですが、それを飲んで過ごしました」

弁護人「その人は1人で住んでいたのですか」

被告「いいえ。子供がいました。3歳ぐらいだったと思います」

弁護人「過ごしてみてどうでしたか」

被告「楽しかった感じです」

弁護人「その後はどうしましたか」

被告「私は車で寝ようとしたのですが、彼女が『部屋で寝ればいいじゃん』と言ったので、部屋で寝ることにしました。布団は一つしかなかったので、一緒の布団で寝ることにしました」

弁護人「そのときは子供も一緒でしたか」

被告「はい」

弁護人「翌日はどうしましたか」

被告「予定通りゲームセンターに行ったり、カラオケに行ったり、買い物をしたりしました」

弁護人「その日の夜はどうしましたか」

被告「また彼女の部屋でお酒を飲んだと思います。そして、彼女の部屋で寝ることになりました」

弁護人「どうして2泊することにしたのですか」

被告「彼女といるのが予想外に楽しく、1泊増やしました」

《加藤被告が次に向かったのは兵庫県。ここでも、テキトウで交流していた女性とゲームセンターに行くなどして2日ほど過ごしたという。そして、テキトウの管理人の男性が住む福岡へ向かった》

弁護人「管理人にはどんな服装で会いましたか」

被告「スーツです」

弁護人「なぜですか」

被告「以前、掲示板の雑談で、私がネタで『着る服がない。普段は作業着かスーツだ』と言って(書き込んで)いたためです」

弁護人「その姿を見て、彼はどんな反応をしましたか」

被告「笑っていました」

《この日は管理人に連れられて行ったバーで、生まれて初めてのダーツをするなどして過ごし、翌日は周辺を観光。その後、再び兵庫と群馬に寄って、青森に帰ったという》

法廷ライブ3に続く

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