7月2日 「太田光総理」番組に関して
先週6月29日(金)に日本テレビ系で放映(収録は、18日(月)です。)された、「太田光の私が総理大臣になったら」の「マニフェスト・少年法を廃止します」番組における私の発言に関して、多くのご意見を戴いています。直ぐにでも、ご説明とお詫びをすべきところ、番組での発言内容の確認などに時間がかかったため、遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
1、戴いたご意見は、多岐にわたりますが、先ず、少年法に対する私の基本的考え方についてです。
私は、2000年に衆議院議員に初当選したときに、法務委員会に所属し、「少年法の一部改正法案」の審議に参加しました。その時の少年法改正法案は、「厳罰化」と呼ばれる内容のものでした。私は、少年犯罪の問題は、「罪を犯した少年を厳しく罰すればよい」というだけの問題ではなく、大人を含めた社会全体で、その発生や再発の防止に取り組んでいかなければならない問題であると、その当時から思っています。
少年が犯罪を起こす原因としては、少年自身の責めに帰す要因だけでなく、社会、家庭、大人など周囲の環境要因が大きいと考えられます。特に、犯罪を起こした少年の半分は、虐待を受けた経験を有し、「自分なんかどうなっても良い」という自尊心を持てない状況に陥っていると言われています。そのような少年に大人と同じ責任を負わせるだけでは、問題を解決したことにはならないのではないでしょうか。
そもそも、少年法の目的は、「非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整を図りながら、少年の健全な育成を達成する」ことにあります。少年は、可塑性(将来の変化の可能性)に富んでおり、非行のある少年も「育て直し」をすることが可能です。少年のその後の長い人生を考えた場合、少年に自分の行為の責任を自覚させてその非行性を克服させることによって健全育成を図ることが、少年のためにも、社会全体のためにも、必要なことであると考えます。
ただし、以上のことは、「罪を犯した少年に対し、決して処罰することはしない」ということを意味するものではありません。少年法でも、家庭裁判所で裁くこととなる「少年院への収容」、「保護観察処分」などのほかにも、重大な事件については、これを検察官に送致(「逆送」と呼ばれています。)して普通の裁判所で裁き、刑事処分(懲役など)を課することもあります。裁判所が、罪の重さと少年の更生とをにらみながら、少年の取り扱いを決めていくことになるのです。
なお、被害者の方々に対して社会がどのような救済をしていくべきかの問題も、重要な問題です。この点については、実は、番組収録時には、「議場」でも大いに議論されました。現在、少年犯罪だけでなく、成人による犯罪でも、「被害者救済」という面は極めて不十分であることについては、皆の意見が一致し、被害者の方々の救済に国としてももっと努力すべきであるという結論も出ました。しかし、この問題は、「少年法の問題」と言うより、「大人も含めた犯罪被害者の問題」と言うことで、番組でほとんど放映されなかったのが本当に残念です。
2、次に、番組での私の発言の中で、少年犯罪の被害者のお母さん(青木さん)に対して質問したときの発言についてです。
この点については、被害者のお母さんの気持ちに十分に思いを致すことなく、配慮を欠いた質問をしたことを申し訳なく思い、深くお詫び申し上げたいと思います。
なお、ネット上では私の発言が誤って表現されているところもありますので、番組の録画で私が確認した私の質問部分を、自省の念をこめて以下に記させていただきます。
「その加害者の人に、その、死の恐怖を味あわせるという気持ちで、あれですかね、私は、青木さんが本当に幸せというか、納得するというか、できるとはちょっと思えないんですね。むしろそういう悪いことをした子ども達は、それなりの事情があってそういうことになったんだろうと思いますけど・・」 (青木さんの「事情って何ですか」の問いかけがあり、)、「いやいや、事情と言うのは、要するに彼らがどういう環境で育ってきたとか、どういう風にその大人とか親とかの関係であったとか、まあ、いろんなことがあったわけで、それはとにかく置いておいて、その加害者であった子ども達にどうなってもらいたいのか、その子ども達が自分を反省し、これからの人生を歩んでくれるということには、そういうようなことっていうのはもういいから、とにかく死の恐怖を味あわせてやりたいっていうことですか。」
3、以上、思い起こして見ますと、番組全体での私の発言には、「『太田光総理』の番組は、バラエティー番組だから」という私の気の緩みがあったと反省し、常に国会議員としての自覚を持って行動しなければならないと自戒しています。