宮崎県が「マダニ」を介したウイルス感染症の注意を呼びかける記者会見を4日に開いた際、標本として持ってきていた生きたマダニ1匹がいなくなった。会見があった記者室内に殺虫剤がまかれ、河野俊嗣知事が謝罪する騒ぎとなった。
記者会見は、宮崎がマダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群」の報告数が全国最多となり、注意喚起のために開かれた。県職員が撮影のために2ミリほどの生きたマダニと、血を吸って5ミリほどになったマダニの死骸を机の上に置いた。2匹を比較させるためにピンセットでつかもうとした際に見失ったという。
県職員や報道関係者ら約10人で室内を捜索したが見つからなかったため、机の周辺に殺虫スプレーを散布。粘着テープや粘着ローラーを使って掃除し、くん煙式の殺虫剤も炊いた。
5日朝、掃除機をかけたり拭き掃除をしたりしながら死骸を探したが、見つからなかった。いなくなったマダニがウイルスを持っていたかは不明だが、県の担当者は「マダニは殺虫剤に弱いし、草木などの水分がないと生きていけない」と説明。生存の可能性は「まずない」としている。
河野知事はその日の記者会見で「注意喚起をする側の県として、より徹底した安全管理が必要だったと反省している」と謝罪した。