神奈川県座間市のアパートから9人の遺体が見つかった事件で、捜査当局に「自分の子供ではないか」との趣旨の問い合わせが複数件寄せられていることが1日、関係者への取材で分かった。現時点で被害者の身元が判明していないため、子供が行方不明となっている親らが事件に巻き込まれたことを懸念しているものとみられる。
今回の事件では、遺体の損傷が激しい上、被害者の一部は自殺志願者だったとみられ、当初から身元の確認作業が難航することが懸念されていた。警視庁は被害者の身元について、逮捕された白石隆浩容疑者とのインターネット上のやりとりやDNA型鑑定、行方不明者のリストなどを使って確認を進めているものとみられる。
子供がインターネット上で他人とつながっていた場合、たとえ親などの同居家族であっても、つながりは把握しにくいとされる。また遺書や書き置きがあった場合は、行方不明の届け出がなされないこともあり、警視庁は身元確認作業を慎重に進めているもようだ。
警察庁の統計によると、行方不明の届け出は全国で毎年8万人を超し、そのうち20代までの若年層が4割を占めている。不明者の7割は1週間以内に所在が確認されるが、一部は行方不明のままとなる。昨年は、犯罪に関係するとみられる不明者も580人に上った。こうした状況の中、子供が行方不明となっている親らが問い合わせをしているものとみられる。
統計では、昨年の不明者8万4850人のうち64・4%が男性で、失踪原因は認知症を含む疾病や家庭関係、職業や学業上のトラブルなど多岐にわたる。年代別では10代が最多の20・2%で、20代の18・9%が続く。若者が多いのは、家出などが原因とみられている。
1人暮らし高齢者の「孤独死」や働き盛りの「突然死」、乳幼児の「不審死」など、死因が不明な「異状死」の数が急増している。その数は犯罪に関わるものも含めてこの10年で3割増の17万件、実に亡くなる人の7人に1人の割合だ。