日本人として生まれても、外国籍を取ると日本国籍を失うとする国籍法の規定は憲法違反だとして、欧州在住の元日本国籍保持者ら8人が国籍回復などを求める訴訟を来月、東京地裁に起こす。弁護団によると、この規定の無効を求める訴訟は初めてという。
弁護団によると、原告はスイスやフランスなどに住む8人。すでに外国籍を得た6人は日本国籍を失っていないことの確認などを、残り2人は将来の外国籍取得後の国籍維持の確認を求めている。
原告側が争点とするのは「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」とした国籍法11条1項の有効性だ。
原告側は、この条項が、「兵役義務」の観点などから重国籍を認めなかった旧憲法下の国籍法から、そのまま今の国籍法に受け継がれていると主張。年月とともに明治以来の「国籍単一」の理想と、グローバル化の現実の隔たりが進んだ、としている。
現憲法13条の「国民の幸福追求権」や22条2項が保障する「国籍離脱の自由」に基づき、「国民は日本国籍を離脱するか自由に決めることができ、外国籍を取っても、日本国籍を持つ権利が保障されている」として、条項が無効だと訴えている。
多重国籍(たじゅうこくせき)とは二つ以上の国籍を持っている状態のこと。重国籍ともいい、二つならば二重国籍、国籍の積極的抵触となる。大約として重国籍であることは、個々人にはさしたる害は生じないので制約しなくても構わないという意見も存在しているが、単一の国籍しか持てないことが原則であり、法整備上の問題などで、制限つきや政治家や公務員ではない者のみに認められている国がある。
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
○2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。