千佐子被告は午前10時半過ぎ、刑務官に付き添われて京都地裁101号法廷に入った。黒い長袖ニットとグレーのハーフパンツ、サンダル姿。傍聴席を見た後、検察官や書記官に一礼して証言台の前に座った。
中川裁判長が「(声が)聞こえますか」と尋ねると無言でうなずいたが、「主文ですが……」と続けると、右手を挙げてさえぎり「ちょっと聞こえにくい」と発言。中川裁判長がやや声を大きくして「主文を後回しということにします」と述べた後は表情を変えることなく、判決理由の朗読に聴き入った。
主文が朗読されたのは約1時間10分後。中川裁判長に「起立してください」と言われ、千佐子被告は「立つの? もっと大きな声で言ってください。私、耳が遠いので」といらだった口調で答え、ゆっくりと証言台の前に立った。死刑宣告の直後には何度もまばたきしたが、表情を変えることはなかった。言い渡しの後は口元に手をやりながら「何か言えばいいの?」と問いかけ、中川裁判長が首を振るのを見て、裁判官や弁護人、傍聴席にそれぞれ無言で一礼した。
中川裁判長は、男性2人の体内から青酸が検出され、他の2人も救急搬送時の所見などから「青酸中毒」による死亡を認定。第三者の関与や自殺、事故の可能性はない一方、筧被告が直後に相続手続きなど特異な行動を取っていたことから、いずれも遺産目当てで毒性を認識した上で健康食品と偽り、カプセルなどに入れた青酸を服用させたと指摘した。
第四百七十五条 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
○2 前項の命令は、判決確定の日から六箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。