ロブスターを生きたまま熱湯に入れる調理法はこれまでレストランで一般的だったが、今回の法改正によりロブスターは「死ぬ前に気絶していなければならない」とされた。スイスの公共放送局(RTS)によると、気絶させる方法も電気ショックか機械を使った「脳の破壊」しか認められないという。
動物の権利活動家や一部の科学者は、ロブスターやその他の甲殻類は高度な神経系を持っており、生きたまま熱湯でゆでられると激しい痛みを感じると主張している。
エビやカニなどの甲殻類は痛みを感じることができる可能性が高いとする研究結果が17日、発表された。研究を行った研究者は、熱湯に放り込まれたロブスターは、実は長い間にわたって苦しみ続けているのかもしれないと話している。
北アイルランド・ベルファスト(Belfast)のクイーンズ大学(Queen's University)の研究者らが行った一連の実験で、特定の場所で繰り返し電気ショックを与えられたカニは、たとえそこが隠れ場所に絶好な暗がりだとしても、その場所を避けるようになることが分かった。英科学誌「Journal of Experimental Biology(実験生物学ジャーナル)」に掲載された論文では、これはカニが痛みを感じていることを示唆するものだとされている。
研究を率いたクイーンズ大学のボブ・エルウッド(Bob Elwood)氏は、カニが痛みを感じることを完全に証明することは不可能だとしつつも、実験結果はカニが痛みを感じるとする説と「つじつまが合う」ものだとAFPに語った。
改正法ではこのほか、生きたロブスターを含む海産甲殻類を氷詰めにしたり氷水に入れたりして輸送することも禁止し、「常に自然の状態に保たなくてはならない」ともされた。