滋賀県警彦根署の男性巡査(19)が教育係の巡査部長(41)を射殺した事件で、犯行現場となった河瀬駅前交番内の防犯カメラには、巡査部長が巡査を厳しく叱る様子などは写っていなかったことが16日、滋賀県警への取材で分かった。県警は巡査が1月に現場に配属されてからの勤務で犯行につながる動機がないか調べている。また、巡査は逃走時にGPS(衛星利用測位システム)機能付きの無線機がついた服を脱いでいたことが分かった。県警は居場所が特定されないように捨てたとみている。
県警によると、犯行日の11日、巡査部長と巡査は午後5時ごろに発生事案の対応で出動し、同7時15分に交番に戻った。防犯カメラにはその後、2人が夕食の弁当を食べる様子が写っていた。食後、巡査部長は自分の机でパソコン作業を行い、巡査は交番内を立ち歩いたりしていた。カメラに音声は記録されていないが、巡査部長が倒れる同47分までの約30分間に、巡査が厳しく叱られたり、2人が言い争ったりする様子は写っていなかったという。
父のように警察官になって社会のために働きたい――幼いときからの望みどおり、米山雄司さんは愛知県警に入った。だが、警察署に配属されて2ヶ月後の2010年11月29日、署内で拳銃自殺した。享年24歳。悲嘆に暮れる両親の前に浮かびあがったのは、「イジメ」疑惑だった。ささいなミスで長時間罵倒する、公衆の面前で数百回の腕立て伏せをやらせる、眠らせない、私物をひっくり返す、執拗な退職強要――“心ある警察官”から、匿名の内部情報がもたらされたのである。だが愛知県警は、一般社会では明らかにパワハラとみなされるような数々の事実を認めながらも、「本人の出来が悪いのが原因だ」と責任を全面的に否定。死人に口なしと言わんばかりの冷淡な態度に、両親は無念と怒りを募らせ、国賠訴訟という戦場で戦いをはじめた。
県警によると、男性巡査がATMを使ったのは事件の約10分後で、出金限度額とみられる50万円を引き出していた。さらに、たばこ2箱とライター1個を購入して立ち去ったという。12日午前1時35分ごろに県警が男性巡査の身柄を確保した際、所持金は約50万円あり、たばこは持っていなかった。
女性宅の前にはパトカーのホイールキャップなどの部品が落ちており、県警が押収。県警は犯行後の詳しい逃走経路などを調べている。巡査は、県警が定めるパトカーの運転資格を持っていなかった。