「うわあああパン売り場にお刺身が(以下略)」ーー。買い物中、「やっぱりいらない」となった商品。元の場所に戻さないと、いかにお店が困るのかを開設した漫画がツイッターで6万RT超も拡散されている。
ツイートしたのは、スーパーを舞台にした漫画『チェッカー鳥海さん、レジまでお願いします』(宝島社)の作者・狸谷さん(@akatsuki405)。地域密着スーパーで10年以上アルバイトしている現役の「レジ打ち」でもある。
今回投稿したのも、ツイッターで継続中の『チェッカー鳥海さん~』の新作だ。
「マンガに描かれていることは本当にあった体験を元にしています。『放置商品』は、商品補充の作業中に見つかることが多いです」と狸谷さん。頻繁に売り場点検ができれば良いが、人手不足や作業量が多く、なかなか手が回らないという。
生ものは温度管理の徹底が求められるので、放置を見つけたら、店としては万一のことを考えて、廃棄するしかない。いつから放置されているか分からない以上、ほかの客が気を利かせて、元に戻すのも危険だ。
今回の漫画では、「途中で気が変わったら、そこら辺の売り場に放置しないでレジにそのまま持ってきて」と呼びかけている。
ところで、もしも防犯ビデオなどで放置した客が分かった場合、店は商品の買取や賠償を要求することはできるのだろうか。前島申長弁護士に聞いた。
食品取り扱ってるお店では結構切実。 pic.twitter.com/cTMK77xy7K
— 狸谷 (@akatsuki405) 2018年5月12日
問題は、故意ないし過失があるといえるかです。
ーーどういうことでしょうか?
「故意」は、損害を与えることを知っていながら「わざと」行為に及ぶことです。たとえば、店に対し意図的に業務を妨害するような意図をもって放置行為を行った場合には、故意が認定されやすいと思います。
また、1回だけでなく、複数回または複数商品について同じような放置行為を繰り返した場合には、器物損壊罪、業務妨害罪などの刑事責任を問われる場合があると思われます。
難しいのは、特に上記のような故意がなく、元の場所に戻すのが面倒くさいなどの理由で違う場所に放置したような場合です。
ーー故意がないとしても、「面倒くさい」は過失なのでは?
商品によっては、元の場所に戻さないこと自体に過失が認められるようなケース(たとえばアイスクリームを常温の場所に放置したような場合)もあると思いますが、通常は、過失を問うことはなかなか困難かもしれません。
刺身や総菜など、生ものであってもどの程度常温の場所に置いておいたら商品として提供できないか、客には必ずしも明確といえないからです。
店側としては、放置行為を見つけた場合は注意を施すなどした上で、それでも客が複数回同じような放置行為を行う場合には、故意が認定されやすいと思います。