学力低下が叫ばれてるけど、「学力」やなくて「考える力」が低下してるんやと思う…今日この頃。
/(-_-)\ ウ~ン
OECDの学習到達度調査(15歳向け)で日本の順位が下がったっちゅう結果だけは、報道で知っとったけど、問題が公開されとらんから、ピンとこんかったんやけど、PISAの問題を取り上げてるとこがあったからやってみた。
PISAの問題
2500年以上前にアテネで作られた女人像柱は、大理石(炭酸カルシウム)からできています。1980年に本物の彫刻はアクロポリス博物館に移され、代わりに複製が置かれました。本物の彫刻は酸性雨に浸食されつつあったのです。
問1
酢と酸性雨はほぼ同じ酸性度を持っています。大理石のかけらを酢に入れると、気泡が発生します。そのまま一晩つけて、翌日取り出し、乾かしました。乾いた大理石のかけらの質量はどうなっているでしょうか(酢に一晩中つける前の大理石のかけらの質量は、2.0グラム)。
A: 2.0グラムより小さい
B: ちょうど2.0グラム
C: 2.0グラムから2.4グラムの間
D: 2.4グラムより大きい
これは、問題に答えが書いてあるから、勉強してなくても字が読めりゃ解けるんやけど…
問2
この実験を行った生徒たちは、大理石のかけらを、酢だけでなく蒸留水にも一晩中つけこみました。実験にこの手順を含めるのはなぜですか。説明してください。
「暇やったから」とか「先生の嫌がらせ」とか答えんように(笑)
読解力を求めとるんかと思えば、問2でほんまに分かっとんのか再確認しとる。
なかなか、おもろい。
OECDの求める「学力」は、どれだけ覚えたかよりは、どう考えてるか、ようは「人間力」を求めとるんやろな。
こういうことを考えさせるのは、勉強が出来る出来んに関わらず、実生活で役に立つ。
日本の学校は、「覚える」ことに重点を置きすぎるから、出来ん子が、「そんなん社会で役に立つんか?」っちゅう話になるねんな。
まぁ、この問題は、かなり簡単な部類らしいから、解けんとちょっと恥ずかしいかも。
国語の問題も、なかなかおもろい。
落書きに関する手紙が2通あります。
手紙1
学校の落書きに頭に来ています。
壁から落書きを消して塗り直すのは、今度が4度目だからです。
創造力という点では見上げたものだけれど、社会に余分な損失を負担させないで、自分を表現する方法を探すべきです。
禁じられている場所に落書きするという、若い人たちの評価を落とすようなことを、なぜするのでしょう。
プロの芸術家は、通りに絵をつるしたりなんかしないで、正式な場所に展示して、金銭的援助を求め、名声を獲得するのではないでしょうか。
わたしの考えでは、建物やフェンス、公園のベンチは、それ自体がすでに芸術作品です。
落書きでそうした建築物を台なしにするというのは、ほんとに悲しいことです。
それだけではなくて、落書きという手段は、オゾン層を破壊します。
そうした「芸術作品」は、そのたびに消されてしまうのに、この犯罪的な芸術家たちはなぜ落書きをして困らせるのか、本当に私は理解できません。
ヘルガ
手紙2
十人十色。人の好みなんてさまざまです。
世の中はコミュニケーション広告であふれています。
企業のロゴ、お店の看板、通りに面した大きくて目ざわりなポスター。
こういうのは許されるでしょうか。
そう、大抵は許されます。
では、落書きは許されますか。
許せるという人もいれば、許せないという人もいます。
落書きのための代金はだれが払うのでしょう。
だれが最後に広告の代金を払うのでしょう。
その通り、消費者です。
看板を立てた人は、あなたに許可を求めましたか。
求めていません。
それでは、落書きをする人は許可を求めなければいけませんか。
これは単に、コミュニケーションの問題ではないでしょうか。
あなた自身の名前も、非行少年グループの名前も、通りで見かける大きな製作物も、一種のコミュニケーションではないかしら。
数年前に店で見かけた、しま模様やチェックの柄の洋服はどうでしょう。
それにスキーウェアも。そうした洋服の模様や色は、花模様が描かれたコンクリートの壁をそっくりそのまま真似たものです。
そうした模様や色は受け入れられ、高く評価されているのに、それと同じスタイルの落書きが不愉快とみなされているなんて、笑ってしまいます。
芸術多難の時代です。
ソフィア
こんだけ長いと読むだけで疲れるやろな(笑)
まぁ、中学生やから大丈夫か。
で、上の手紙を読んでの問が…
問1
ソフィアが広告を引き合いに出している理由はなんですか。
問2
どちらの手紙に賛成するかは別として、あなたはどちらがよい手紙だと思いますか。片方あるいは両方の手紙の書き方にふれながら、あなたの答えを説明してください。
ちなみに問2は、解答が無限にある。
それにしても、読解力と倫理観と、「自分はどう思うか」、またそれを「他人に分かり易く伝えられるか」まで問うとるんやから、なかなかおもろい問題ですわ。
賛成、反対に関わらず、自分の意見を相手に論理的に説明出来るっちゅうのは、コミュニケーションをとる上で必要不可欠な能力。
全部の問題が入手出来んから何とも言えんけど、この手の問題が多いとしたら、学力が低下したっちゅうよりは、「読解力」や「表現力」、ようは「コミュニケーション能力」とか「考える力」が低下しとるんやろな。
「知識」よりも「知恵」ってことか。
個人的には、ガキの頃は、「知識」の量が重要な気もするけどな。
年とると覚えたくても、覚えられんようになるし…
とにかく子供の、「何で?」っちゅうのをもっと大事にしろっちゅうことですな。
大人も鵜呑みにすることが多くて、「何で?」って思うことも、自分で調べて、考えることを放棄しとる人が多いからなぁ。
受験勉強もええけど、大人は自分もそういう力を磨いて、それを子供に伝えな。
教師は、もっと子供の知的好奇心をくすぐるような授業をしてもらいたいもんです。
それでは回答を。
問題の回答
理科の問題の問1は、大理石のかけらを酢に入れると、気泡が発生します。って問題に書いてあるから、答えはA。
これは、化学式で書くと…
CaCO3+2CH3COOH →
Ca(CH3COO)2+H2O+CO2
炭酸カルシウム(CaCO3)を酢酸(2CH3COOH)につけると、酢酸カルシウム(Ca(CH3COO)2)と水(H2O)と二酸化炭素(CO2)になる。
気泡は二酸化炭素で、二酸化炭素が出るっちゅうことは、当然重さは軽くなるっちゅうことやな。
まぁ、この問題はそこまで求めてないから、化学式が書けんでもええけどな。
「すい、へい、りー、べー…」って未だに覚えとるわ(笑)
問2の答えは、水やなくて酸によって変化してることを証明する為。
大理石の腐食は、酸性雨が原因ってことが言いたいんやろ。
国語の問1は、これは「言い訳」やな。
落書きの正当性を主張しとるねん。
問2の模範解答は…
ヘルガは議論と全く関係のないオゾン層の破壊を根拠として述べるなど、論理性に欠け、ソフィアは落書きの違法性について、社会の基盤である法の重要性を無視した上で持論を進めている為に、論拠が説得力に欠けるものになっている。
つまり、文章の説得力においては、どちらも大差は無い。
しかし、落書きをする者の創造力を認めつつも落書きが社会的に許されない行為であることを考慮に入れた点、また文章の語尾が統一されるなど、丁寧に書かれていた点は、ヘルガにあってソフィアにないものである。
したがって、ヘルガの方が良い手紙だと思う。
オイラの解答は長くなるから省略するけど、採点の基準は…
1.落書きを違法な行為と認識しているか
2.賛否は別として、客観的に自分の意見を述べてるか
3.どちらの手紙を支持してるか明記されてるか
4.手紙の内容やスタイルに触れてるか
この4つが満たされてたら正解なんやと。
みなさん解けました?
親子でやると面白いと思うんで、一緒に考えてみて下さい。
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