ポリビニルアルコール(PVA)が幹細胞の培養に有効なのが分かってて、それじゃ「液体のり(アラビックヤマト)で増えるんちゃう?」ちゅうて使ったら、やっぱり増えたって感じか。
これだけ大々的に発表したから大丈夫やと思うけど、こうなると培養液のメーカーから何かしら妨害されたりせんのか心配になる。
市販「液体のり(アラビックヤマト)」 白血病治療の救世主に?
白血病の治療で重要な細胞を大量に培養することに、東京大と米スタンフォード大などのチームがマウスで成功した。これまでは高価な培養液でもほとんど増やせなかったのが、市販の液体のりの成分で培養できたという。白血病などの画期的な治療法につながる可能性があり、専門家は「まさにコロンブスの卵だ」と驚いている。白血球や赤血球に変われる造血幹細胞は、0・5リットルで数万円するような培養液でも増やすことが難しい。このため、白血病の治療はドナーの骨髄や臍帯血(さいたいけつ)の移植に頼る場面が多かった。
東京大の山崎聡特任准教授らは、培養液の成分などをしらみつぶしに検討。その一つであるポリビニルアルコール(PVA)で培養したところ、幹細胞を数百倍にできたという。マウスに移植し、白血球などが実際に作られることも確認した。
PVAは洗濯のりや液体のりの主成分。山崎さんは実際、コンビニの液体のりでも培養できることを確認した。共著者で理化学研究所で細胞バンクを手がける中村幸夫室長は「結果を疑うほど驚いた。研究者はみんな目からウロコではないか」と話した。
培養液は0.5リットルで数万円するけど、アラビックヤマトなら50ミリリットルで100円やからなぁ。
0.5リットルでも千円で済む。
しかも効果は数百倍。
もう、高価な培養液なんか使えんわな。
そうなると、色々と培養液メーカーが妨害しそうな気がするんやけど…
アラビックヤマトについて
Q.アラビックヤマトの主成分はなんですか?A.石油を原料として合成された化学樹脂の一種であるポリビニルアルコール(PVAL)と水が主成分です。
※一部、PVAと表記されている商品もありますが、PVALと同じです。Q.「アラビックヤマト」の「アラビック」は、どういう意味なのですか?
A.昭和30年代まで、アラビアゴムの樹液を主成分としていた液状糊を、別名「アラビアのり」と呼んでいました。
この「アラビアのり」は、容器のビンを逆さにすると、海綿を通して、液状糊が染み出し、手を汚さなくても糊がつけられる便利なものでした。そこで、この「アラビアのり」のビンの使いやすさと、合成樹脂の糊の良さを合わせ、かつソフトタッチの新しい糊の開発に取り組みました。
そして、「アラビアのり」の名残を残しつつ生れたのが『アラビックヤマト』です。
Q.アラビックヤマト」はいつ誕生したのですか?
A.昭和50年(1975年)10月の発売以来、様々な改良・改善を重ねているロングセラーです。
その後、容量・目的に応じて、バリエーションもいろいろ増えています。
アラビックヤマトの説明はいらんか(笑)
研究の背景とか研究の結果が「日本医療研究開発機構」のHPに書いてあるんやけど
液体のり(アラビックヤマト)で造血幹細胞の培養に成功
研究のポイント
・通常の培養で使用する高価なウシ血清成分やアルブミンの代わりに液体のりの主成分であるポリビニルアルコール(PVA)を用いることで、安価に細胞老化を抑制した造血幹細胞の増幅が可能になった。・マウス造血幹細胞を用いた実験により、1個の造血幹細胞を得ることができれば複数の個体へ造血幹細胞移植が可能であることがわかった。
・本発見は、ヒト造血幹細胞にも応用可能であると期待され、おもに小児の血液疾患に対して移植処置の合併症リスクを軽減した安全な造血幹細胞移植が提供できるとともに、幹細胞治療や再生医療への応用や医療コストの軽減に期待される。
研究の背景
造血幹細胞は、全血液細胞を一生涯にわたり供給することができる組織幹細胞です。この造血幹細胞は、血液疾患を根治する際の骨髄移植(造血幹細胞移植)には欠かせない細胞であり、ドナーからの供給が非常に重要です。しかし、高齢化社会によるドナーの減少により、骨髄バンクや臍帯血バンクの補助的なシステムの構築が課題となっております。そこで本研究チームは、白血病を含む血液/免疫疾患患者へ応用を目指して造血幹細胞を生体外で増やす技術開発を進めていました。
研究の結果
研究チームは過去に報告した全組み換えタンパク質を基礎とした培養条件を用いて、造血幹細胞の細胞分裂を誘導することが昔から知られている2つのサイトカイン(注4)の最適な濃度を検討しました。その結果、SCF(注5)が低い濃度でありかつTPO(注6)が高い濃度のバランスが、造血幹細胞の性質を維持しながら効率良く長期に培養可能であることを発見しました。1)PVAは血清アルブミンの機能を代替し、細胞老化を抑制することで造血幹細胞の増幅をする(図1)
精製アルブミンや組み換えアルブミンには、精製過程でどうしても取り除けない微量の混入物が残存しています。その混入物が造血幹細胞自身を分化する方向へ誘導してしまうことが、本研究により明らかとなりました。また、タンパク質の酸化反応が細胞老化を誘導してしまうことも明らかとなったことから、アルブミンを他のタンパク質ではなく、化学物質で置換することが課題解決になると考えました。この課題に取り組んだところ、PVAがアルブミンの代替物質として有効であることが分かりました。さらには、PVAは培養液中で酸化されない安定な物質であるため、造血幹細胞の老化も抑制しつつ長期間増幅を維持することを発見しました。
2)PVAを用いた造血幹細胞の増幅培養システムは1つの造血幹細胞からでも多くの個体へ骨髄移植が可能である(図2)
マウスから1つの造血幹細胞を分離採取し、1ヶ月間培養し増幅させた後に複数の放射線を照射した(骨髄破壊的処置し貧血を誘導した)マウスに移植しました。その結果、すべてのマウスで移植した増幅造血幹細胞の骨髄再構築が確認できました。この結果は、ドナーからごくわずかな造血幹細胞を得てその得られた造血幹細胞を増幅することで、複数の患者へ移植可能な造血幹細胞が準備できることを示しています。
3)骨髄破壊的な処置をしない安全な造血幹細胞移植モデルの確立(図3)
多くの研究者らの報告から、造血幹細胞は骨髄中に存在する特殊な環境(骨髄ニッチ)を放射線や薬剤による骨髄破壊的な処置を行わなければ骨髄への生着は難しいとされていました。近年の日本国内外の研究チームの報告から、大量の造血幹細胞を個体へ移植することで、骨髄破壊的な処置を用いずに造血幹細胞の生着が可能であることが示されました。しかし、ドナーから得られる造血幹細胞の数に限りがあるため、この大量の造血幹細胞移植は現実的に不可能であると考えられてきました。そこで本研究チームは、今回見出された増幅培養系を用いることで、50個という少ない造血幹細胞から充分量の造血幹細胞を得ることに成功し、骨髄破壊的な処置を用いない安全で容易な造血幹細胞の移植法を新たに発見しました。
まとめ
本研究チームは、マウスの造血幹細胞を用いた研究から液体のりの主成分であるPVAを用いることで、造血幹細胞の長期培養系における増幅に成功しました。また、これらの培養系はヒト造血幹細胞においても応用できる可能性が示されました。以上の成果は、白血病を含む血液疾患への次世代幹細胞治療の道を開くとともに、幹細胞分野の基礎研究にも大いに貢献するものと期待されます。PVAは日常的に用いられている安価な化学物質であり、かつ医薬品製造グレードの製品が容易に入手できることから、幹細胞治療へのコスト削減にも大いに貢献するものと期待されます。
何にしても、白血病患者は年々増加傾向にあって、年間7900人が白血病で亡くなってる。
この研究で安価に助ける事が可能になるわけで、1日も早く実用化して1人でも多くの白血病患者を救って欲しいもんです。
コメント
脱帽です!
そして、多方面で地道にコツコツと努力されてる研究者の方々に感謝します。