それでは、前回の続き。
ウミサチ(ホデリ)とヤマサチ(ホオリ)の争いが終わって、しばらくするとトヨタマがやってきて…
もう生まれそうや」
急いで産屋を造り、その中に入ろうとした時にトヨタマが…
鶴の恩返しと一緒やな。
イザナギとイザナミの喧嘩の時もあったけど、この手の「見るな」の話は、神話や民話で世界中にある。
何かのメッセージなんやろか?
けど、「見るな」って言われりゃ見たくなるのが人の性っちゅうもんで、ヤマサチも例外なく覗くわけで…
見るなと言われて、やっぱり覗いたヤマサチの目に映ったのは、なんと八尋(やひろ:10m以上)のサメの姿。
驚いたヤマサチは、恐くなって逃げ出す。
そりゃ、10m以上のサメがおりゃなぁ…(笑)
だから見るなって言うたのに…」
………
こんな恥ずかしい思いをしたら、もう来られへんわ。
さよなら…)
こうして、トヨタマは、海の道を塞ぎ、生まれたばかりの子供を残して、海の国に帰る。
この子供の名をナギサタケウガヤフキアエズ(波限建鵜葺草葺不合命)という。
海の国に帰ったトヨタマは…
うちはあんたが憎い…)
と覗いたヤマサチを恨むけど、やっぱりヤマサチが恋しいトヨタマは、妹のタマヨリ(玉依毘売)を呼んで…
この手紙を届けて欲しいねん。
それと、うちの代わりにウガヤフキアエズを育て欲しいねん」
こうして、妹のタマヨリは、地上に行きウガヤフキアエズの育ての親となる。
手紙の内容は…
赤玉は 緒さへ光れど 白玉の 君が装し 貴くありけり
赤い玉は、それをつなぐ緒までも光って見えるが、白玉のような、あなたの姿は、とても清く貴い。
やっぱり、あんたが好きやねんっちゅうことなんやろな。
それに対してヤマサチが返歌を…
沖つ島 鴨著(ど)く島に 我が率(ゐ)寝し 妹は忘れじ 世のことごとに
沖の鳥や鴨がたくさんいる島で、私が添い寝をしたあなたのことは、一生忘れません。
逃げたけど、こっちも「やっぱ好きやねん」っちゅうことやな。
それからヤマサチは580年生き、高千穂の山の西に葬られた。
ヤマサチとトヨタマの子、ウガヤフキアエズは、育ての親のタマヨリと結婚し4人の子供をもうける。
イツセ(五瀬命)、イナヒ(稲冰命)、ミケヌ(御毛沼命)、ワカミケヌ(若御毛沼命)の4人のうちイナヒは、母のいる国に行き、ミケヌは、常世国へ行ってしまう。
この時のワカミケヌが、後のカムヤマトイワレビコ(神倭伊波礼比古命)、後の神武天皇となる。
めでたし、めでたし。
長男のイツセは、カムヤマトイワレビコと一緒に東征するねんな。
東征中に死ぬことになるけど…
それにしても、神武天皇の婆ちゃんはサメ。
オカンもサメの可能性が高いけど、書いてないから分からん。
何にしても、天皇家はサメの子孫っちゅうことやな(笑)
気になるのは、いつも末っ子が継いででるっちゅうこと。
古代は長子やなくて、末っ子やったみたいやな。
とにかく、長かった古事記上巻もこれで終わり。
いかがでした?
難しくて分かりづらい古事記やけど、日本人やったら知っとかなあかん話やと思う。
ちゅうか、代表的な神様の名前ぐらいは知っとかんと、何人やねんっちゅう話になるしな。
昔は絵本なんかもあったんやけど…
歴史的に正しいかどうかは疑問の残るとこやけど、当時の人間のDNAは受け継いでるはず。
当時の何を思い、何を伝えようとしたかを「日本人」として知っとかなあかんと思う。
自分の国のことも知らんのに、国際化とかグローバリゼーションなんて言うのは愚の骨頂やからな。
これを読んで、何かを感じてくれたら幸いです。
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