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ヤマタノオロチ(八岐大蛇)|日本神話(古事記)12

高天原を追放されたスサノオは、出雲国の肥河(斐伊川)の上流の鳥髪(とりかみ、現奥出雲町鳥上)に降り立った。

スサノオ
「あいつら、めちゃくちゃしよるなぁ。俺は姉ちゃんに会いに行っただけやっちゅうねん」

と、つぶやきながらスサノオが、川を眺めてると上流から箸が流れてきて…

スサノオ
「おっ!!これは上流に人がおるな」

と思い、上流に向かって歩いていくと老夫婦が小さな女の子を抱えながら…

女の子
「うぅ~」

。・゚・(ノД`)・゚・。ウォーン

と、1人の少女を囲んで泣いている老夫婦がいて、それを見たスサノオが…

スサノオ
「お前らは誰や?」
オオヤマツミ
「私は、この国のオオヤマツミ(大山津見神)(イザナギとイザナミの子)という神の子で、名をアシナヅチ(足名椎)、と申します。妻は、テナヅチ(手名椎)、この子の名は、クシナダヒメ(櫛名田比売)と申します」

と答え、それを聞いてスサノオが…

スサノオ
「お前らは何で泣いてるんや?」

オオヤマツミ
「私達の娘は、8人いましたが、ヤマタノオロチ(八岐大蛇)が毎年やってきては、食べてしまいます。今年もその時期がやってきて、最後の娘が食い殺されると思うと悲しく悲しくて…」

スサノオ
「そうなんや。それでそのヤマタノオロチっちゅうのは、どんな形の動物なんや?」

オオヤマツミ
「それはもう恐ろしい怪物で、その目は、ホオヅキの花のように真っ赤で、一つのからだに頭と尾が八つずつある大蛇でございます

そのからだには、コケや杉やヒノキなど木が生え、その長さは、八つの谷と八つの峰にまたがり、その腹は、いつも血がしたたって、ただれております」

と、現状を理解したスサノオは、少し考えて…

スサノオ
「なるほど。それはそうと、その娘を俺の嫁にくれんか?」

こんな状況で、求婚するって、あんた…

オオヤマツミ
「あの…まだ、あなた様のお名前も伺っておりませんが…」

スサノオ
「俺の名前?そういやまだ言うてなかったな。俺はアマテラスの弟。たった今、天から降りてきたとこや」

追放されたんですけど…

オオヤマツミ
「そうでしたか。それでしたら娘を差し上げましょう。しかしこの娘は、ヤマタノオロチに狙われてる身でして…」

スサノオ
「そうやったな。それやったら、俺が退治するから大丈夫や」

そう言うとスサノオは、クシナダヒメを櫛に変えて髪に刺した。

スサノオ
「ほんで、めっちゃ強い酒を作ってや。それで、家の回りを垣で囲んで八つの入り口を作って、その入り口すべてに、台を作って、その上に酒の桶を置いて、それに強い酒をたっぷり入れとって」

老夫婦は、スサノオに言われる通りに準備をし、ヤマタノオロチが来るのを待った。

しばらくすると、ヤマタノオロチがやってきて、八つの桶に八つの頭を突っ込んで、酒を飲み始めた。

ドーーーーン!!

「ゴーゴー」

酒を飲み終えたヤマタノオロチは、すさまじいイビキをかきながら、眠ってしまいました。

スサノオ
「よし!!今や!!」

すかさず、スサノオは持っていた十拳剣でヤマタノオロチをズタズタに切り刻む。

ヤマタノオロチの体から流れる血でが真っ赤に染まる。

カキーン!!

スサノオ
「んっ!?何かに当たったか?」

ヤマタノオロチの尻尾を切り刻んでいたときに、十拳剣に何か固いものがぶつかり、刃が欠けてしまう。

スサノオ
「何に当たったんやろ?」

おかしいと思ったスサノオは、剣の先を尻尾に刺し、切り開いて見ると、そこには立派な剣が。

これが、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)、後にヤマトタケルノミコト(日本武尊 倭建命)が、敵から火ぜめにあったときに、草をなぎはらったということで有名になる「草薙の剣」(くさなぎのつるぎ)

不思議に思ったスサノオは、この剣をアマテラスに献上する。

十拳剣が欠けたっちゅうことは、十拳剣は青銅製で、天叢雲剣は鉄製。

ここでも出雲が、かなり文明が進んでたことが分かる。

ヤマタノオロチを退治したスサノオは、宮殿を作る地を探して出雲国の須賀(すが)の地へやって来て…

スサノオ
「俺は、この地に来て、めっちゃ“すがすが”しい気持ちや」

って、誰がそんなオヤジギャグを言えっちゅうたんじゃ(笑)

この時代でも、オヤジギャグはあったんやな。

そう言って、そこに宮殿を作ったので、今でもそこは「須賀(すが)」という。

そこで、スサノオは…

スサノオ
「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」

と歌を詠んだとさ。

そして、アシナヅチを呼んで…

スサノオ
「今日から、お前がこの宮殿の長官をやれ。そんで、稲田の宮主(いなだのみやぬし)須賀の八耳(すがのやつみみ)の神と名乗ったらええわ」

こうして、この宮殿で新婚生活を送ったスサノオとクシナダヒメは次々と子供を産み、その7世の孫が大国主神(オオクニヌシノカミ)となる。

この話は、ヤマタノオロチが洪水の象徴で、クシナダヒメが稲田の象徴っちゅう説があるけど、そう考えるのが自然やろな。

血で真っ赤に染まるっちゅう表現も、川が濁ったって考えたら辻褄があう。

スサノオは、稲田を守る為に洪水を防いだと。

治水技術があり、鉄があり、稲田がある。

本来なら、アマテラスの血統のみを紹介していきゃええとこを、ここに強引に出雲神話を挟んでるとこを見ても、大和朝廷を語る上で、出雲は無視出来ん存在やったっちゅうことなんやろな。

しかも、その出雲は、アマテラスの弟スサノオが作ったことにしとる。

なかなか見事な構成やな。

どっからどう読んでも、天皇の正当性を疑うことは出来ん構成になっとる。

出雲は、大和朝廷、日本っちゅう国家の誕生を語る上で避けて通れんかったんやな。

この頃の出雲は、中国地方はもちろん、北九州から福井県まで勢力があったとされてる。

それだけ強大な勢力やった。

その後の「邪馬台国」が、九州から関西まで諸説あるのは、その影響かもしれん。

まぁ、「邪馬台国」は、日本の歴史書には出てこん。

魏志倭人伝とか三国志にしか出てこんから、「大和の国」を魏の人間が、その音を当て字にして、侮蔑する字を使って「邪馬台国」って書いたって考えるのが自然やわな。

中国人は、アメリカを亜美利加(日本はそれにならって亜米利加やけど)って書くしな。

欧米にゃ、侮蔑した字を当てんけど…

「卑弥呼」「ひめみこ」の当て字やろ。

ヒミコも日本の歴史書にゃ出てこんからな。

何にしても、このヤマタノオロチの話辺りが、縄文時代と弥生時代の境目なんやろ。

スサノオの成長が、縄文から弥生の変化とリンクしてる。

「出雲風土記」も読んだ方が良さそうやな。

今回はここまで、

次回は、これまた有名なイナバウアー(そんなオヤジギャグいらんか?)の話。


日本の神話〈第3巻〉やまたのおろち











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